短時間労働者への社会保険適用拡大
2016-08-01
平成28年10月から特定適用事業所に
勤務する短時間労働者への厚生年金保険等
への加入が拡大されます。
給与を支払う事業者にとっては事業者負担分の
経費増大が伴います。
大まかな規定を確認したいと思います。
[1]特定適用事業所
平成28年10月以降、被保険者の数が
501人以上の企業は「特定適用事業所」
と社会保険上は呼ばれるようになります。
具体的には
「1週間の所定労働時間および1か月の
所定労働日数が通常労働者の4分の3以上」
の労働者=被保険者が501人以上いるかで見ます。
これをみるかぎり、中小企業にはなかなか
当てはまらないのかもしれません。
[2]加入要件
下記の要件を満たす場合に
適用対象になります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
③1年以上継続して雇用される見込みがある
④被保険者の数が501人以上の企業
⑤学生でない
[3]加入当事者への影響
①傷病手当金・出産手当金などを受給できる
②基礎年金のほか厚生年金(報酬比例部分)も受給できる
③給付充実による保険料負担の発生により可処分所得の減少
目の前の可処分所得の減少に目がいきがち
ですが給付の充実も大事です。
勤務先の選定にあたり十分に考慮
が必要です。
[4]事業主への影響
①負担増
本人負担と同額の社会保険料が負担増
となります。
損益への影響を早めに試算して、
事業計画に盛込む必要があります。
②採用への影響
社会保険の整備がされていることを
望む労働者へのアピ-ルができます。
[5]今後の方向性
現状では特定事業所のみに適用されますが、
現在上がっている法律案には501人以下の
企業も、労使合意があれば企業単位に
適用拡大を可能とする案です。
また国・地方公共団体は規模にかかわらず
適用とする案が盛り込まれています。
今後も適用拡大方向が見込まれるので、
中小企業事業者も注視が必要です。
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