株式会社と合同会社の違い
2018-02-01
最近会社設立するお客様の中で株式会社ではなく合同会社を
選択する方が目立つようになりました。
ここで両社の違いを合同会社を中心に記載してみます。
【1】合同会社とは
合同会社は、出資者全員が有限責任社員となって構成する法人です。
個人事業主や合名会社、合資会社の場合には、
事業破綻や倒産に陥った際、無限に責任を負うこととなっています。
ところが、合同会社は、株式会社と同じように「間接有限責任」になります。
出資金以上の債務を負わずに済みます。
こういった一定のリスクを回避できるという点が、大きな特徴となります。
【2】合同会社のメリット
①設立費用が安い
登録免許税が、株式会社では最低でも15万円かかるのに対して、
合同会社は6万円で済みます。公証役場での定款認証も必要ない為、
認証費用の約5万円も不要となります。
②役員の任期がない
株式会社のような役員変更登記の必要がありません。
株式会社では、最長10年ごとに少なくとも役員変更登記1万円が必要になります。
③経営の自由度が高い
利益の配分を、出資比率に関係なく社員間で自由に決めることができます。
また株主総会も必要ないため、迅速かつ簡単に経営上の意思決定が行えます。
定款で規定できることも自由度が高いです。
④その他税法上の取扱い・組織変更
税務的取扱いは、株式会社とまったく同じです。
また合同会社という形態で独立したが、事業が大きくなってきたので、
株式会社に移行する場合も10万円程度の費用で株式会社に変更できます。
【3】合同会社のデメリット
①全員の合意が必要
意志決定は、社員全員の合意が必要になります。
したがって、意見が分かれることがあり、
意思決定がスムーズにいかない可能性があります。
出資の割合で意思決定できる株式会社と比べて、ここが大きな違いになります。
②認知度が低い
社会的に認知度が低いこともデメリットなのかもしれません。
③社長の名称
社長の名称は「代表社員」と言います。「代表取締役」ではありません。
名刺やウェブサイトなどの肩書きには、「代表取締役社長」とは名乗れません。
ここをデメリットと考える方もいるかもしれません。
④上場はできない
株式会社ではないので、上場することができません。
創業数年で上場を目指すという方は、最初から株式会社がいいかもしれません。
⑤資金調達の手段も株式会社と比較すると少ない
株式を増資して、資金調達するといったことが、合同会社ではできません。
【4】増加する合同会社
合同会社の設立数は、2006年(平18年)が3300社(年間)でしたが、
平24年は10,000社突破(年)、平成27年は約 22,200社(年)も設立されています。
同年の株式会社設立数は88,000社ですので、
株式会社:合同会社=4:1の割合で設立されています(5社に1社が合同会社)。
合同会社は、以前の「有限会社」のメリットに似た特質を有していることもあり、
有限会社に代わって合同会社が増えつつあります。
会社設立を考えている方は上記メリット・デメリットを勘案して
組織形態を選んでください。
山口会計 山口