会社経営と相続税
2014-06-30
平成27年1月1日より相続税が改正になります。
今回は主な改正内容と会社経営者が注意すべき点を
記載します。
【1】改正(概要)
①相続税の基礎控除減額
改正前の基礎控除額の6割となり相続税の納税が必要となる対象者が増えます。地域等により違いはありますが、100件の相続が発生すると今まで申告しなければならない件数は4件程でしたがこれが6件程になります。 ただし東京圏においてはもっと多くなるでしょう。
②相続税の税率構造変更
特に相続財産2億円以上の相続について税金が増えます。
③未成年者控除と障害者控除
これは全体的なバランスを考慮して税額が減る改正となります。
④小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
地価が高い都市部では増税の影響が大きくなり過ぎる懸念があり、生活の根拠・生活資金の収入源泉を確保するために、居住用宅地の限度面積を拡大(自宅を残す可能性を拡大)とともに、 居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする拡充が行われます。
もちろんその他の改正もありますが、相続税で特に重要な点は上記4つです。
【2】経営者が注意すべき点
(1)相続財産の範囲(被相続人名義・亡くなった方名義)
以下のものが対象となります。
① 土地、建物、現金、貴金属、車、家具、書画骨董、果樹立木など
これらの所有権はもちろん相続財産の対象になります。
② 預貯金、有価証券(株式、国債、地方債、社債、手形)、貸付金などの金銭債権
ご商売をされていたなら取引先への売掛金なども相続対象です。
③ 生命保険金や死亡退職金なども相続に影響することがあります。
④ 会社の株式
株式会社の株主たる地位(株式)、有限会社の社員たる地位(出資金)
⑤ 賃貸借権
被相続人が住居を借りていた場合、その賃借権は原則として相続されます。
⑥ 損害賠償請求権
例えば、交通事故が原因で亡くなられた被相続人場合、病院の費用、 もし死亡されなかった場合に取得できたであろう収入(死亡による逸失利益)、慰謝料(加害者に対する被相続人のもの)な どの損害賠償請求権も相続の対象になります。
⑦ その他
⑧ 負債(マイナスの財産)
借金などの債務も原則として相続され返済義務が生じます。
(2)会社経営者特有の財産・債務
①会社の株式が該当します。
中小企業の株式は上場企業と違い市場での換金価値はありません、しかし、会社の財産価値を基本として特殊計算で株価を算出します。非上場の会社株式をお持ちの方は一度株価を算出することをお勧めします。
②会社に対する貸付金
会社経営者が自分の会社の資金繰りのためお金を貸し付けることがあります。 もちろんこれは経営者にとって回収する権利なので相続時には財産となります。
③会社からの借入金
上記の逆のケ−スです。これは会社経営者が支払わなければならないものとして マイナスの財産となります。
(3)試算
出来れば現状の財産リストを作製し、相続税額の発生の有無を確認できるとよいです。
また先々の財産分割を考慮して遺言書作成を検討してみてもよいでしょう。
山口会計 山口