高齢化社会となる現状の中で
今後取り扱いが増えると思われる
『成年後見制度』について
簡単に記載します。
【1】成年後見制度とは
成年後見制度は精神上の障害
(知的障害、精神障害、認知症など)
により判断能力が十分でない方が不利益
を被らないように
家庭裁判所に申立てをして、
その方を援助してくれる人
を付けてもらう制度です。
成年後見制度は法定後見制度と
任意後見制度からなり、
任意後見制度は本人の判断能力
が衰える前から利用できますが、
法定後見は判断能力
が衰えた後でないと利用できません。
【2】法定後見制度の種類
法定後見制度は、
後見、保佐、補助の3つに分かれ、
本人の精神上の障害の程度によって区別されます。
なお、申立全体の約8割が後見となっています。
①後見
判断能力が欠けているのが通常の状態の方
が対象となります。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、
成年後見人は本人の財産に関するすべての
法律行為を本人に代わって行うことができます。
②保佐
判断能力が著しく不十分な方が対象となります。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、
保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為
について代理権を与えることができます。
③補助
判断能力が不十分な方を対象とします。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、
補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為
について代理権または同意権(取消権)
を与えることができます。
【3】後見人になる方
①法定後見制度
家庭裁判所から選任された人がなります。
誰になって欲しいか、
希望を伝えることはできます。
平成26年1月~12月までのデータによると
約35%のケースで本人の親族が後見人等
に選任されています。
但し、親族後見人を希望しても、
内容が複雑であったり、
トラブルが予想される場合は、
弁護士・司法書士などの専門家が
成年後見人等に選任されることもあります。
②任意後見制度
契約でお願いされた人がなります。
【4】申し立ての動機
主な申立ての動機として
最高裁判所事務総局家庭局
「平成26年成年後見関係事件の概況」
を参考にすると以下の順位です。
①預貯金の管理・解約
②介護保険契約
③身上監護
④不動産の処分
⑤相続手続
やはり手続き上の理由から制度を
利用することが多いことがわかります。
今回は基礎的なことを記載しました。
次回は特に相続の手続き上の
利用実態について記載したいと思います。
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