高額な医療費を支払った場合
2014-05-29
最近お客様からご質問がありましたので
高額療養費制度について調べてみました。
家計としての資金繰りに影響することなので概要を記載してみます。
また会社や個人での保険加入の際も考慮しなければならないことです。
【1】高額療養費制度とは
高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)に
医療機関や薬局の窓口で支払った額(自己負担額)が
一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合に
超えた金額が後で払い戻される制度です。
【2】自己負担限度額とは
自己負担限度額は年齢及び所得状況等により設定されています。
例えば70歳未満で一般的な所得の方の場合
同一月に100万円の医療費の場合窓口負担は30万円ですが
下記計算式に当てはめれば自己負担額は87,430円となります。
還付申請をすれば後から差額の212,570円が戻ってきます。
ただし払い戻しまで概ね3月位はかかります。
●自己負担限度額の計算式
【3】高額療養費の現物給付化(健康保険限度額適用認定証)
70歳未満の方で、医療費が高額になることが
事前にわかっている場合には、
一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめること
ができるようになりました。
この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に
「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、
「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、
医療機関の窓口に認定証と被保険者証を提出しなければなりません。
【4】制度利用上のポイント
①自己申請
加入する健康保険組合により違いがありますが、
基本的には自己申請しないと制度の利用はできません。
少なくとも窓口負担が多くなった場合などは
健康保険組合に問い合わせるのがよいでしょう。
②時効は2年間
時効は診療を受けた月の翌月の初日から2年です。
時効前であればさかのぼって申請出来ます。
③世帯で集計
同じ月であれば、複数の受診や同じ世帯に属する人
の分を合算出来ます。
ただし合算は同一の健康保険の加入が条件です。
共働き夫婦で別々の健康保険に加入している場合は
合算出来ません。
また健康保険と75歳以上の後期高齢者医療制度の
場合は同居していても合算出来ません。
④所得税・医療費控除との関係
確定申告時の医療費控除を適用する場合
医療費の総額から還付を受けた金額を
差し引いて医療費控除を適用します。
よって、税額の計算上の控除額が少なくなるので
注意が必要です。
高額療養費制度については様々なポイントがあります。
また上記以外にも特例があります、まずは
制度の概要を理解し、医療費が増えたときは、
医療機関の窓口や健康保険組合に問い合わせるのがよいでしょう。
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