セルフメディケーション税制について
2017-04-03
平成29年分の確定申告から導入される
所得税の医療費控除の特例について
注目してみます。
【1】セルフメディケーション税制とは
これは医療費控除の特例と考えられます。
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として
一定の取組を行う個人が、
平成29年1月1日以降に、
スイッチOTC医薬品を購入した際に、
その購入費用について
所得控除を受けることができるものです。
①適用期間
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間
②対象者及び対象品
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族
に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入
③所得控除額
その年中に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円
を超えるときは、その超える部分の金額
(その金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)
について、その年分の総所得金額等から控除されます。
【2】対象となる医薬品
OTC医薬品は、医師の処方箋がなくても薬局や
ドラッグストアで購入できる薬のことで、
かぜ薬や頭痛薬など、多様な薬が市販されています。
セルフメディケーション税制は、
全てのOTC医薬品が対象になるわけではなく、
医療用医薬品でも使われている83成分を含む
約1600品目がOTC医薬品が対象です。
【3】適用要件
申請者が申告対象の1年間(1~12月)に下記に記載した
疾病予防の為の健診や予防接種等を受けることを要します。
・健康保険組合等が実施する健康診査(人間ドック、各種健診等)
・ 市町村が健康増進事業として行う健康診査
・ 予防接種(定期接種又はインフルエンザワクチンの予防接種)
・ 勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
・ 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)又は特定保健指導
・ 市町村が実施するがん検診
※ 市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する
健康診査は対象になりません。
なお、これらのうちのいずれか1つを受けていればよいため、
全てを受ける必要はありません。
また取組を実施したことの証明書類が必要になります。
【4】選択適用
従来の医療費控除制度と同時に利用することはできません。
購入したOTC医薬品の代金に係る医療費控除制度については、
従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制の
どちらの適用とするか、自身で選択することになります。
その年分についていずれかの方法を選択して申告すると
後で変更できません。
この点は注意すべき点です。
【5】平成29年分の対応
今後の確定申告に向けての対応としては
①【3】の要件を満たす証明書の保管をすること
②従来通り医療費の領収書の保管
上記2つを実行して、確定申告書作成時に
いずれの方法の方が所得控除額が多くなるか
比べて申告することとなります。
従来までとの違いは予防接種や健康診断を
受けた証明書を保管することだけです。
所得控除を漏れなく受けるためには
今から準備しておきましょう。