遺言代用信託
2018-04-02
最近クロ-ズアップされている 「信託」の種類の内の1つである 「遺言代用信託」の概要を記載します。
【1】「遺言代用信託」とは
信託銀行等に財産を信託して、生存中は本人のために 管理・運用してもらい、亡くなった後には、 配偶者やお子様に財産を引き継ぐことができる信託です。
①スムーズな財産承継が可能に
通常、亡くなった人の銀行口座からご家族の方が
お金を引出す場合には、相続に関する手続きを済ませなければ、
たとえ実子などの相続人の方であっても、
すぐに引出すことはできません。
遺言代用信託を設定しておけば、相続の手続きをしなくとも、
ご自身が亡くなったときの葬儀費用など、
すぐに必要なお金や、遺された家族のための生活費などを、
あらかじめ指定した相手にスムーズに引き継ぐことができます。
②年金のように定期的に一定額を給付することも可能
亡くなった時にあらかじめ決めておいた人に財産を渡せるだけでなく、
生存中はその財産を自分のためにも使えます。
また、亡くなった後の資金の受取り開始時期、受取額、
受取方法まであらかじめ決めておくことが出来ます。
③未成年の財産の管理にも利用することができる
相続人である子がまとまった金額を相続したものの浪費
してしまう心配がある場合にも対応できます。
④長期間にわたる生活費として
障害のある子などが自身で財産管理をするのが難しく
親が亡くなった後も年金のように長期間にわたって
毎月生活費が振り込まれるようにすることもできます。
【2】注意すべき点
①遺留分
遺留分を侵害するような信託の設定は実質的にできません。
②信託銀行が取扱う商品により、次のような点が異なります。
1)元本保証の有無
2)ご本人の死亡後の資金の受取人の範囲
3)手数料・管理報酬の有無や額
4)信託できる期間
5)資金の受け取り方法など
信託内容に合わせて希望に沿うかどうか確認が必要です。
③相続税への影響
遺言代用信託を使って相続した場合と普通に相続した場合で、
相続税の金額に違いはありません。
既に紹介したように、例えば、葬儀費用など必要なお金をすぐに
相続できる点が大きなメリットです。
④信託財産は現金のみ
信託できる財産は現金のみです。不動産や株式などの有価証券は
含むことができません。
【3】制度の理解が必要
似たような言葉・制度に「遺言」「遺言信託」「生命保険」等
があります、それぞれの内容を理解して使い分けることが
重要です。
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